労働基準監督署の権限
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各労働基準監督署には、「労働基準監督官」という職員が存在し、法律で与えられた権限によって、会社を調査する権限を有しています。
主な権限は、労働基準法第101条から第104条に規定されており、労働基準法101条では、「労働基準監督官は、事業場?に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる」と規定されています。
さらに労働基準法102条では、「労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」となっています。
したがって、会社の労働関係書類を強制的に提出させ、確認することができ、役員や社員に対して、事実の確認することが出来る上、違反の事実が確認できた場合には、警察官の職務として労働基準監督官自身の判断で、逮捕や送検することができるということです。
なぜここまで強大な権限を有するかというと、やはり「労働者の安全と健康の確保維持」のためでしょう。労働者の生命に危険が及ぶ可能性を速やかに回避するために、労働基準監督官個人に警察権限まで与えられていると考えられます。
そして当然ながら、労働基準監督官は「人」ですから、微妙に指導、是正勧告の内容が異なることもよくあります。
例えば、サービス残業を指摘されて、遡って残業代を支払う旨の是正勧告書が出た場合、「3ヵ月分を遡って支払えば良し」とする場合もあれば、「民事上の時効である2年分遡らないと許さない」という厳しい監督官も存在します。
どの人が担当になるかは、どうにも対策しようがありませんが、労働基準監督官の権限は、意外と強大である一方、相手が「人」であることを忘れずに、誠実に対応することが必要になります。
労働基準監督官の権限(労働基準法より)
第101条の1
労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の付属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問をおこなうことができる。
第102条
労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務をおこなう。
第104条の2
労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めたときは、使用者又は労働者に対して、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
例えば、「36協定」の締結・届出をせずに、法定労働時間(週40時間、1日8時間)を超えて労働させていると、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられることになります。
このような法律違反は、悪質な場合を除き、是正勧告などによって改善させることが一般的ですが、監督官の調査に対して不誠実な対応をとれば、刑罰を科せられる可能性もあります。